Online Concert Library

Back Number 4 (2005.3.13)

『八重衣』・・・石川匂当作曲
手事の一部のみ抜粋( 3'41")








 地唄<八重衣>・・・京都の石川勾当(文政年間)の作曲。
 

小倉百人一首の中から、『衣』にちなんだ歌、五首を春夏秋冬の順に唄ったものです。
『地唄手事物』の中でも古今の名曲で、抜群の風格を持った曲です。

君がため、、、という第一首の唄いだし、
古今集の世界に入っていく気持ちを抑えた高揚感が私は大好きです。
それぞれのシーンをひとつひとつ味わいながら、有名な手事でさんざん楽しんだあげく、
秋の田の、、、と入っていきます。

きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろにまで歌ったところで、
『きりぎりす(こおろぎのこと)の手』が入り、最後に百拍子。
<只今のプログラム>では、ここの部分をお送りしております。

最近は忙しい時代で、あちこち抜粋して弾くことが多いのですが、
後唄を唄いだすのは、やはり全部を弾いてからがよいです。
とても難しいふしですが、いつかは上手に歌いたいものです。

衣片敷きひとりかも寝んだけは、二度繰り返します。
二度繰り返しながら、万世の無常なることに身を委ね、最後は余韻を残して静かに終わる、、、
これこそ、クラシック邦楽の伝統的な味わいです。


(歌  詞)
君がため、春の野に出で若菜摘む、我が衣手に雪は降りつつ。(古今・巻一春歌上・光孝天皇)
春過ぎて、夏来にけらし白妙の、衣ほすてふ天の香具山。(新古今・巻三夏歌・持統天皇)
三芳野の、山の秋風小夜ふけて、ふるさと寒く衣打つなり。(新古今・巻五秋歌下・参議雅経)
秋の田の、刈穂の庵の苫をあらみ、我が衣手は露にぬれつつ。(後撰・巻十秋歌・天智天皇)
きりぎりす、鳴くや霜夜のさむしろに、衣片敷き独りかも寝ん。
(新古今・巻五秋歌下・後京極摂政太政大臣)



( 付 記 )
只今のオンラインコンサートは、
私が敬愛してやまない富樫教子師にお稽古をつけて頂いている時の秘蔵録音です。
音質が悪くお聴き苦しい点をどうぞご容赦下さいませ。
師の大きな芸のお力に、ようやっとおすがりして何とか替手を入れさせて頂く幸せなこと。
巧みに三絃を操る魔法のようなお指から紡ぎ出される音色にうっとりとして、
自分が弾くのをつい忘れてしまいそうです。


私の『至福のとき』です。






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地歌三弦「八重衣」の演奏を音楽配信しています。

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